毎年、読書界の一大イベントとして注目を集める「本屋大賞」。
2025年も名だたる実力者たちによる素晴らしい作品が数多くノミネートされました。
今回は、年間100冊以上のペースで読書を続け、通算1000冊以上の読書経験を持つ筆者が、2025年の本屋大賞ノミネート作品10冊すべてを読破し、徹底分析します。
- Qこの予想のどこが他と違う?
- A
- 過去の受賞傾向を徹底分析
- SNSでの話題性・書評サイトでの評価を数値化
- 書店を回り、書店員さんの口コミを分析
4月9日(水)の発表を前に、どの作品が栄えある本屋大賞に輝くのか。
その順位を”ガチ”で予想していきます。
みなさんも自分の推し作品はどうなるのか予想を楽しみながら、ぜひ最後までご覧ください。
本屋大賞2025 ノミネート作品一覧と感想
2025年の本屋大賞ノミネート作品は、ヒューマンドラマやサスペンス、スポーツ、青春小説などジャンル問わず多彩な顔ぶれとなっています。
まずはじめに、それぞれの作品のあらすじや特徴、魅力などをご紹介します。
以下、作品名の50音順でご紹介します。(※こちらはランキングではありません。)
アルプス席の母 早見和真
母の視点×高校野球の、まったく新しい高校野球小説
秋山菜々子は、神奈川で看護師をしながら一人息子の航太郎を育てていた。湘南のシニアリーグで活躍する航太郎には関東一円からスカウトが来ていたが、選び取ったのはとある大阪の新興校だった。声のかからなかった甲子園常連校を倒すことを夢見て。息子とともに、菜々子もまた大阪に拠点を移すことを決意する。不慣れな土地での暮らし、厳しい父母会の掟、激痩せしていく息子。果たしてふたりの夢は叶うのか!?
補欠球児の青春を描いたデビュー作『ひゃくはち』から15年。主人公は選手から母親に変わっても、描かれるのは生きることの屈託と大いなる人生賛歌! かつて誰も読んだことのない著者渾身の高校野球小説が開幕する。
スポーツ漫画や小説といえば、主人公は決まって少年や少女。
未熟な若者たちが困難を乗り越えて大きく成長していく姿に、感動を覚える読者は多いでしょう。
しかし、この作品は従来のスポーツ小説の常識を覆す作品。
主人公はなんと、高校球児の「母」なんです。
「スタンドから息子を見守る母親の姿に、あんなにも胸を打たれるとは」
子供だけでなく、母もまた葛藤し、時には涙し、時には歓喜し、成長していく。
「親って、自分のことをここまで想って見守ってくれてたんだ…」
読み進めるうちに、そんな気づきとともに涙が止まらなくなります。
子育て中の方、部活動や習い事を頑張る子どもを持つ親御さん、そして今全力で何かに打ち込んでる方には特に刺さるはず。
心に残る感動を、ぜひ体験してください。
カフネ 阿部暁子
言葉にならない「愛」が「食」をきっかけに生まれる
一緒に生きよう。あなたがいると、きっとおいしい。
やさしくも、せつない。この物語は、心にそっと寄り添ってくれる。法務局に勤める野宮薫子は、溺愛していた弟が急死して悲嘆にくれていた。弟が遺した遺言書から弟の元恋人・小野寺せつなに会い、やがて彼女が勤める家事代行サービス会社「カフネ」の活動を手伝うことに。弟を亡くした薫子と弟の元恋人せつな。食べることを通じて、二人の距離は次第に縮まっていく。
静かに、じわじわと、心の奥深くに染み込んでくる「食」と「愛」の物語。
読了後も1ヶ月以上、その感動から抜け出せないほどの感動を与えてくれる作品です。
この物語の登場人物たちは、とにかくすれ違います。だけど、そのすれ違いの切なさがどこか優しく、読者の心に響く。
気持ちを上手く言葉にできずにすれ違ってしまった経験のある方や、複雑な人間関係に疲れたことがある方なら、きっと共感せずにはいられないでしょう。
読み終えたとき、不思議と心が軽くなります。そして自然と、あなたも大切な人に連絡したくなるはずです。
タイトルの「カフネ」には、ポルトガル語で「愛する人の髪にそっと指を通す仕草」という美しい意味が込められています。
最後まで読むと、そのタイトルの真の意味に心打たれるはず。
人と人との繋がりを、これほど繊細に、これほど温かく描いた小説はほかにありません。
ぜひ、あなたの心にも「カフネ」を感じてください。
禁忌の子 山口未桜
禁断のサスペンスかと思いきや、人間の本質をめぐる物語へと変化し…
救急医・武田の元に搬送されてきた、一体の溺死体。その身元不明の遺体「キュウキュウ十二」は、なんと武田と瓜二つであった。彼はなぜ死んだのか、そして自身との関係は何なのか、武田は旧友で医師の城崎と共に調査を始める。しかし鍵を握る人物に会おうとした矢先、相手が密室内で死体となって発見されてしまう。自らのルーツを辿った先にある、思いもよらぬ真相とは――。過去と現在が交錯する、医療×本格ミステリ!
設定を聞いた瞬間から「これは間違いなく面白い」と確信できるほどの強烈なあらすじ。
そして案の定、読み始めたら止まらない止まらない。一気読み必至の展開に引き込まれる、徹夜確定小説です。
信じることの優しさと残酷さ。真実と向き合うことの恐ろしさ。
読み進めるうちに、次々と心を揺さぶられる問いが読者に突きつけられます。
「自分ならどうする?」
「自分ならそれを許せるだろうか?」
そんな切実な疑問や葛藤を抱きながら、ついつい主人公たちに感情移入して一気に読み進めてしまいました。
この物語の中核にあるのは、究極の二律背反。
「何かを守るためには、何かを壊さなければいけない。」
「誰かにとっての正義は、誰かにとっての悪になる。」
その緊張感が読者の心をざわつかせ、物語から離れられなくなります。読了後は必ず誰かと語り合いたくなる、そんな強い余韻を残す作品です。
覚悟を決めて読み始めてください。
恋とか愛とかやさしさなら 一穂ミチ
あなたならどんな選択をする?痛みのある「愛」の物語
プロポーズの翌日、恋人が盗撮で捕まった。
カメラマンの新夏は啓久と交際5年。東京駅の前でプロポーズしてくれた翌日、啓久が通勤中に女子高生を盗撮したことで、ふたりの関係は一変する。「二度としない」と誓う啓久とやり直せるか、葛藤する新夏。啓久が”出来心”で犯した罪は周囲の人々を巻き込み、思わぬ波紋を巻き起こしていく。
信じるとは、許すとは、愛するとは。
男と女の欲望のブラックボックスに迫る、
著者新境地となる恋愛小説。
「婚約中の恋人が犯罪を犯した。そして罪を認めている。あなたならどうする?」
誰もが向き合いたくない、しかし避けられない現実を正面から描いた渾身の一作。
タイトルからは想像できないくらいのドロドロの内容に、心を揺さぶられることでしょう。
「盗撮した婚約者」という、極めてセンシティブなテーマを圧倒的な筆致で描き切った本作。
「恋」「愛」「やさしさ」
これらの言葉だけでは到底語り尽くせない人間関係の複雑さや、やるせない現実に、読者の心はズタボロにされます。
だけど、心を引き裂かれるような内容でありながら、この物語の苦しさに救われる人がいることも確か。
日常の中に潜む見えない罪と、それを抱えて生きる人々の姿を通して、読者自身の内面をも問いかけてきます。
優しく響くタイトルと、容赦なくリアルで繊細な内容とのギャップが、この作品の魅力をさらに引き立てる。
深呼吸をして、心の準備をしてから読み始めることをおすすめします。
皆さんの中の「普通」が、きっと揺らぐはずです。
小説 野崎まど
小説好きの小説好きによる小説好きのための「小説」
五歳で読んだ『走れメロス』をきっかけに、内海集司の人生は小説にささげられることになった。
一二歳になると、内海集司は小説の魅力を共有できる生涯の友・外崎真と出会い、二人は小説家が住んでいるというモジャ屋敷に潜り込む。
そこでは好きなだけ本を読んでいても怒られることはなく、小説家・髭先生は二人の小説世界をさらに豊かにしていく。
しかし、その屋敷にはある秘密があった。読むだけじゃ駄目なのか。
それでも小説を読む。
小説を読む。
読む。
宇宙のすべてが小説に集まる。
「なぜわたしたちは小説を読み続けるのか?」
小説を「読むこと」にすべてを捧げた主人公の、小説とともに生きる半生が鮮やかに描かれる物語。
読書家なら誰もが自分自身を重ねずにはいられない、魂を揺さぶられる作品です。
主人公と「小説」の切っても切れない関係性。
小説好きなら思わず頷いてしまう場面の連続に、どこまでがフィクションでどこまでが現実なのか、その境界線が徐々に曖昧になっていきます。
そう思いきや、物語は突然、宇宙やら生命の起源へと飛躍し…
次々と繰り出される仕掛けの数々に、頭の中が絶えず揺さぶられます。
置いてかれないように物語にしがみついてたら、いつの間にか物語の世界観にどっぷり浸かっている自分自身に気づくでしょう。
確かにこの作品は強烈な個性を放っています。だけど、その独特の世界観に一度触れれば、気づいた時には完全に虜になっているはず。
小説を愛するすべての人に、そして「読むこと」の魔法を信じるすべての人に、心から読んでいただきたい作品です。
死んだ山田と教室 金子玲介
全力で生きていたからこそ、あの「青春」は輝いていたのかもしれない
夏休みが終わる直前、山田が死んだ。飲酒運転の車に轢かれたらしい。山田は勉強が出来て、面白くて、誰にでも優しい、二年E組の人気者だった。二学期初日の教室。悲しみに沈むクラスを元気づけようと担任の花浦が席替えを提案したタイミングで教室のスピーカーから山田の声が聞こえてきたーー。教室は騒然となった。山田の魂はどうやらスピーカーに憑依してしまったらしい。〈俺、二年E組が大好きなんで〉。声だけになった山田と、二Eの仲間たちの不思議な日々がはじまったーー。
男子校ノリ全開の会話と、思わずニヤけてしまうようなくだらない日常。
男子校出身でもないのに、なぜか懐かしさを感じる不思議な親近感。
「この空気感好きだな、心地よいな。」
そう思いながらページをめくっていると、突然物語の方向性が一変していき…
明るく軽快なコメディとして始まった物語は、いつしか「死」とは何かという重厚なテーマへと静かに変貌していきます。
ニヤニヤしながらゆる〜く読んでいた自分は、いったいどこに行ったのかと戸惑うほどの展開。
この作品の真髄は、笑いと切なさが見事なバランスがで共存していること。
くだらない日常の描写に思わず笑いながらも、人生の儚さや友情の尊さに胸を打たれる瞬間があります。
青春の光と影、日常の喜びと哀しみ。
相反する感情を行き来しながら、読後には温かい不思議な余韻が残る作品です。
spring 恩田陸
ある「天才」を多視点から描いた、伝記的小説
自らの名に無数の季節を抱く無二の舞踊家にして振付家の萬春(よろず・はる)。
少年は八歳でバレエに出会い、十五歳で海を渡った。
同時代に巡り合う、踊る者 作る者 見る者 奏でる者――
それぞれの情熱がぶつかりあい、交錯する中で彼の肖像が浮かび上がっていく。
彼は求める。舞台の神を。憎しみと錯覚するほどに。
一人の天才をめぐる傑作長編小説。
恩田陸さんらしい緻密な構成力と、行間から溢れる美しさ。うん、これは酔える。
「文章に酔える」とは、どういうことか。
この作品に触れた瞬間、その言葉の真の意味をしみじみと感じました。
この傑作には思いがけない課題も潜んでいます。
「バレエ」という芸術に関する自分の教養のなさを、読み進めるうちに痛感せずにはいられませんでした。
バレエの世界に馴染みがなかった僕は、その独特の世界観に完全に入り込めず、置いていかれてしまった場面も少なくありません。
読み手の知識や経験によって、作品の受け取り方が大きく変わる。
そんな厚みを持った小説でもあるな、と感じました。
それでも、舞台上の繊細な振り、躍動する踊り、流れる音楽を文字だけで表現しきった恩田陸さんの筆力には、ただただ圧倒されるばかり。
やはり彼女もまた、紛れもない天才なのです。
読書というより、絵画や舞台芸術を鑑賞しているような感覚に包まれる作品。
言葉の向こう側に広がる世界の豊かさを、ぜひ体験してみてください。
生殖記 朝井リョウ
語り手はまさかの○○。今までにない読書体験
とある家電メーカー総務部勤務の尚成は、同僚と二個体で新宿の量販店に来ています。
体組成計を買うため――ではなく、寿命を効率よく消費するために。
この本は、そんなヒトのオス個体に宿る◯◯目線の、おそらく誰も読んだことのない文字列の集積です。
なんだ、これは…?
天?神?の視点から人間の生態を解説する異色作。
まるで、異星人が製作した「人間のドキュメンタリー」をみているかのような不思議な没入感に包まれます。
「なぜ人間は生きるのか」といった哲学的な側面から、ふとクスッと笑えるエッセイのようなユーモラスな場面まで。
朝井リョウさん作品の魅力を余すことなく詰め込んだ、まさに集大成ともいえる作品でした。
そして、本作最大の衝撃。語り手は、小説史上類を見ないまさかの〇〇。
「そんな主人公あり??」と目を疑うほどの斬新な設定に、読者は戸惑いながらも強く引き込まれます。
一貫して漫才のようなテンポ感で物語は進んでいくのに、不意に鋭い言葉でグサッと心を刺してくる。
そのギャップに、感情が揺さぶられてばかりでした。
朝井リョウさんファンはもちろん、新しい読書体験を求めるすべての読者におすすめしたい作品です。
成瀬は信じた道をいく 宮島未奈
天下を取った成瀬が、さらにパワーアップして戻ってきた
成瀬の人生は、今日も誰かと交差する。「ゼゼカラ」ファンの小学生、娘の受験を見守る父、近所のクレーマー主婦、観光大使になるべく育った女子大生……。個性豊かな面々が新たに成瀬あかり史に名を刻む中、幼馴染の島崎が故郷へ帰ると、成瀬が書置きを残して失踪しており……!? 読み応え、ますますパワーアップの全5篇!
昨年(2024年)の本屋大賞受賞作「成瀬は天下を取りにいく」の続編が今年もノミネート。
前作で読者を魅了した風変わりで破天荒な成瀬あかりが、再び僕たちの前に颯爽と現れました。
相変わらず変人で型破りな成瀬から、1秒たりとも目が離せません。
そして、常に側で成瀬を見守っている幼馴染であり相方の「島崎」もまた、この物語の影の立役者として輝きを放っています。
成瀬とは正反対の性格を持つ島崎との絶妙な距離感と掛け合いが、心地良すぎる…
華々しい成瀬に注目が集まりがちですが、実は「成瀬に影響を受けて変わっていく周囲の人々」こそが物語の真の主人公なのではないか。そう感じる瞬間が何度も訪れます。
「大ヒット作の続編は駄作になりやすい」
そんな巷で囁かれる続編のジンクスを、成瀬あかりは文字通り「天下を取る」勢いで見事に打ち破ってきました。
まだまだ終わらない「成瀬あかり史」から、これからも目が離せそうにありません。
前作を読んだ方はもちろん、未読の方も一気に2冊読破する価値ある傑作です。
人魚が逃げた 青山美智子
あなたは、あなたの物語の主人公
ある3月の週末、SNS上で「人魚が逃げた」という言葉がトレンド入りした。どうやら「王子」と名乗る謎の青年が銀座の街をさまよい歩き、「僕の人魚が、いなくなってしまって……逃げたんだ。この場所に」と語っているらしい。彼の不可解な言動に、人々はだんだん興味を持ち始め――。
そしてその「人魚騒動」の裏では、5人の男女が「人生の節目」を迎えていた。12歳年上の女性と交際中の元タレントの会社員、娘と買い物中の主婦、絵の蒐集にのめり込みすぎるあまり妻に離婚されたコレクター、文学賞の選考結果を待つ作家、高級クラブでママとして働くホステス。銀座を訪れた5人を待ち受ける意外な運命とは。
そして「王子」は人魚と再会できるのか。
そもそも人魚はいるのか、いないのか……。
人生って思い通りにいかないことの連続ですよね。
仕事に息詰まったり、人間関係に悩んだり、夢が遠くに感じたり…
そんな上手くいかない日々の連続に、あなたもうんざりしていませんか?
この作品は、そんな気持ちを抱えるすべての人にぜひ手に取ってもらいたい作品です。
5つの短編が連なり、それぞれの物語がゆるやかに繋がっていく構成は、読者を優しく包み込みます。
まさに青山美智子さんの代名詞と言っても過言ではないこの設定に、今回は「人魚と王子」という幻想的な要素が絡み、物語に深みを与えています。
「現状を変えなければ」と思っているけど、何を変えたらいいのかが分からない。
そんなもどかしさを抱えながら日々を過ごしている方、停滞感に苦しんでいる方が読むと、きっとそっと背中を押してもらえるはずです。
あなたの「次の一歩」を踏み出す手助けになってくれる心温まる短編集です。
本屋大賞2025 予想ランキング
過去21年分の傾向を分析した2025年本屋大賞のランキング予想と、僕自身の好みランキングをそれぞれ紹介します。
本屋大賞2025 順位予想(過去の傾向を踏まえて)
順位 | 作品名 | 表紙 | 著者 | Audible |
大賞 | カフネ | ![]() |
阿部暁子 | 2025/06/27予定 |
2位 | アルプス席の母 | ![]() |
早見和真 |
○ |
3位 | 禁忌の子 | ![]() |
山口未桜 | 未定 |
4位 |
恋とか愛とか |
![]() |
一穂ミチ | ◯ 配信中 |
5位 | spring | ![]() |
恩田陸 | 未定 |
6位 | 人魚が逃げた | ![]() |
青山美智子 | ○ 配信中 |
7位 | 成瀬は信じた道をいく | ![]() |
宮島未奈 | ○ 配信中 |
8位 | 小説 | ![]() |
野崎まど | 未定 |
9位 | 生殖記 | ![]() |
朝井リョウ | 未定 |
10位 | 死んだ山田と教室 | ![]() |
金子玲介 |
◯ |
2025年の本屋大賞を受賞すると予想した作品は、阿部暁子さんの『カフネ』です。
過去の本屋大賞を分析すると、いくつかの共通点が見えてきます。
- 読後感のよさ(例:『西の魔女が死んだ』/梨木香歩)
- 等身大の人間らしさを描くヒューマンドラマ(例:52ヘルツのクジラたち/町田そのこ)
- 読者が手に取りやすい装丁とタイトル(例:成瀬は天下を取りにいく/宮島未奈)
- SNSや口コミでの評価が高い(例:かがみの孤城/辻村深月)
これらの要素を総合的に考えると、『カフネ』はまさに本屋大賞にふさわしい作品と言えるでしょう。
読後感がよく、「主人公が人との関わり合いを通じて成長していく物語」というテーマ性も含め、本屋大賞らしさを感じさせます。
2位に予想したのは、早見和真さんの『アルプス席の母』です。
親子の物語という普遍的なテーマは、多くの読者の共感を得やすく、感情を動かしやすい要素です。
春の甲子園シーズンというタイミングも追い風になる可能性があり、勢いで大賞受賞もあり得るでしょう。
しかし、「高校野球」というテーマには懸念点も。
スポーツに興味がない読者層にとっては手に取りにくく、万人受けするかという点では1位の『カフネ』に一歩譲るのではないでしょうか。
3位に予想したのは、山口未桜さんの『禁忌の子』です。
Instagram上の読書アカウントでは、最も話題になっていた印象の『禁忌の子』。
話題性だけなら間違いなくNo.1です。
圧巻のタイトル回収と、緊迫感のある展開、デビュー作とは思えない構成力が光ります。
ただし、結末に対する感想が読者の間で真っ二つに分かれているのも事実。
最後の捉え方によって評価が大きく変わる可能性があるため、惜しくも3位予想としました。
今年は、本屋大賞候補作は、どの作品が大賞を受賞しても違和感がないほど、各作品に個性とパワーがあります。
予想では4位以下の作品も、すべてダークホースとして一気に大賞に躍り出る可能性を秘めているように感じます。
「選び手が重視するポイント」によって結果が大きく変わりそうな、予想が非常に難しい年となりました。
みなさんは、どの作品に期待していますか?
本屋大賞2025順位予想 (筆者の好みランキング)
1位:『カフネ』阿部暁子
2位:『生殖記』朝井リョウ
3位:『アルプス席の母』早見和真
4位:『禁忌の子』山口未桜
5位:『死んだ山田と教室』金子玲介
6位:『小説』野崎まど
7位:『恋とか愛とかやさしさなら』一穂ミチ
8位:『成瀬は信じた道をいく』宮島未奈
9位:『人魚が逃げた』青山美智子
10位:『spring』恩田陸
予想とは別に、純粋に「読者として心を動かされた作品」をランキング形式で発表しました。
個人的に最も心を揺さぶられたのは、やはり阿部暁子さんの『カフネ』でした。
本屋大賞の受賞傾向を抜きにしても、完成度と読後に残る余韻が他作品から頭ひとつ抜けていると感じます。
僕自身「食」に関わる仕事をしていた経験があり、登場人物のひとり、せつなさんの言葉の数々が胸に刺さりました。今回のノミネート作品の中で、最も付箋を貼った作品でもあります。
この小説に救われる人は多いんだろうな、本当に優しい小説ってこの作品のことを言うんだろうな。
生きづらい世の中を明るく照らしてくれる光のような存在。たくさんの人に広まってほしい1冊です。
2番目に心を掴まれたのが、朝井リョウさんの『生殖記』です。
「奇才朝井リョウ先生が、またとんでもない作品をこの世に生み出してしまったか…」という第一印象。
今の人類が問われている多様性や、生きる意味などを独特の視点から問いかけてくる作品です。
語り手が何なのか。これだけでも興味をそそられるミステリアスな設定。
気になる方は、ぜひ今すぐ本屋に直行してください。
寝る前に突然哲学的なことを考え始めたり、人間観察が趣味だったりする僕にはとにかく刺さりました。
誰にも聞けない問いや、この世界に対する疑問への答えを教えてもらったような感覚に包まれます。
『カフネ』とは全く異なるアプローチで、読者に救いと共感を与えてくれる作品です。
3番目に好きだったのは、早見和真さんの『アルプス席の母』。
今回のノミネート作品で最も涙腺を刺激されたのがこの作品。
スポーツ小説といえば、選手や監督など「当事者」目線で描かれることが多いですよね。
しかしこの作品は、スポーツをする少年を支える「母親」が主人公。
縁の下の力持ちにスポットライトを当てた、視点の斬新さが印象的です。
母の愛情と孤独、そして苦悩。これらが丁寧に描かれているからこそ、心に響きます。
子を持つ親は共感して感動し、親を持つ子は親のありがたみを再認識して感動する。
そんな幅広い層から支持される作品だと感じました。
その他の作品も、文体の美しさや物語構成の緻密さ、キャラクターの魅力など、それぞれに光るものがありました。全体的にレベルが高く、どの作品が大賞を受賞してもおかしくないと感じます。
まとめ 2025年本屋大賞 聴いて楽しむノミネート作品のすすめ
2025年の本屋大賞は、例年以上に予想が難しい激戦の年になっています。
多彩なジャンルと深いテーマ性を持った作品がそろい、読書家たちを魅了しています。
- 家族の絆を描いた感動作
- 心を揺さぶるヒューマンドラマ
- 先の読めないサスペンス
- 独自の世界観で彩られた文学作品
それぞれが異なる魅力を放ち、どの作品が大賞を受賞するのか、4月9日の発表が待ち遠しいですね!
どれを読むか迷っている方は、まずは『カフネ』を。
「発表前に読みたいけど、読み終わらない…」
そんなあなたに朗報です!そんなときこそ、Audible(オーディブル)の出番です!
オーディブルのメリット
- 通勤・家事の時間を読書時間に変えられる
- プロのナレーターによる朗読で作品の世界観に没入
- スマホひとつで、いつでもどこでも本が楽しめる
- 「目で読む」より「耳で聴く」ことで新たな発見も
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今だけ2ヶ月99円(通常3000円)なので、気になる作品を試し聴きするチャンスです!
本屋大賞発表前に、ノミネート作品を耳で楽しんでみませんか?
現在『アルプス席の母』などの4作品が配信中!約3000円+書籍代が浮くのでぜひ試してみてください。
あなたは、どの作品が本屋大賞を受賞すると思いますか?
予想しながら、楽しみながら、発表を待ちましょう!