好きな時に好きな場所で楽しめる読書は、作品を通じて自分の気づかなかった感情や新しい世界に出会える宝物のような体験です。
優しい気持ちになる物語から時間を忘れてのめり込んでしまう物語まで、厳選した4冊を紹介します。
僕は読書が好きです。
読書をしているときは、時間を忘れて非日常のような至福のひとときを過ごすことができます。
みなさんは最近、思いっきり感情を動かされるような経験をしたり、時間を忘れてひとつのことに夢中になったりしましたか?
歳をとるにつれてそういう機会は減っていくように思えます。
しかし、読書をしていれば涙が止まらなくなる作品に出会えたり、「気づいたら朝になっていた」というくらい夢中になったりと毎日にちょっとした彩りを与えてくれます。
なかなか自分でチョイスするとそういった作品と出会うのが難しいという方も多いと思います。
今回は1,000冊以上読んできた僕が厳選した作品なので、ぜひ参考にしていただけたら幸いです。
優しい気持ちになれる作品
西の魔女が死んだ 梨木香歩

「人はみんな幸せになれるようにできているんですよ」
学校に馴染めない中学生の主人公、まいがおばあちゃんによる特別なレッスン「魔女修行」を受けて成長する物語です。
おばあちゃんと過ごしたひとつきあまりの日々は、まいにとってその後の人生を大きく変える転機となります。
様々な情報が溢れる今の時代。
そんな時代こそ自然豊かな生活の中なんでも自分で決断する、おばあちゃんによる「魔女修行」のようなものが必要なのかもしれません。
何歳になっても大切にしたいお守りのような一冊です。
夜更かし必須の夢中になれる作品
ボクたちはみんな大人になれなかった 燃え殻

「人生の本当に大切な選択の時、俺たちに自由はないんだよ」
「自分よりも好きになってしまった人」との別れ。
そして17年後、SNSで偶然再会した彼女との思い出を反芻する物語です。
この作品では劇的な展開は起きません。
どこにでも転がっているような、20代の出会いから別れまでが描かれていきます。
誰かに話すとありふれているようにしか語れなくて悔しい思いをすることもある、そんな二人だけにしか分からない特別な恋のエピソードを思い出しながら読んでみてください。
寝る前に読み始めると、寝不足になること間違いなしです。
大人泣き必須のボロ泣き作品
52ヘルツのクジラたち 町田そのこ

「ひとというのは最初こそもらう側やけんど、いずれは与える側にならないかん」
2021年の本屋大賞受賞作で映画化もされた作品。
読んだことがある方も多いのではないでしょうか。
虐待やヤングケアラー、さまざまな事情で心に傷を抱える登場人物たち。
彼女たちの声なきSOSは誰かに届くのか。
「ムシ」と呼ばれる少年と、自分の人生を家族に搾取された女性が出会い共鳴していく物語です。
誰しも声にならない叫びを抱えながら生きてると思います。
そんな誰にも届かない声も、あげ続けていれば気づいてくれる人が絶対に現れます。
そして、気づいてもらった側が次は気づく側に回る。
そんな「優しさの循環」の大切さに気づかせてくれる作品です。
大人だから泣いてはいけない。
そんなことは一度忘れて、思いっきり泣いてみてください。
心がスッと軽くなる究極の癒し作品
水車小屋のネネ 津村記久子

「誰かに親切にしなきゃ、人生は長く退屈のものですよ」
家出をした18歳と8歳の姉妹、そして喋る鳥のヨウムが織りなすあたたかい物語です。
とにかく登場人物が優しさと愛に溢れています。
人の優しさが別の人の優しさにつながり、水車のように一つひとつは小さな力かもしれませんが、やがて大きな力となって誰かの人生を動かしていきます。
明日をもっと大切に、そして人に優しくしようと思える作品です。
約500ページとかなり長いですが、終盤には終わってしまうのが寂しくなるくらいなので書店で購入するか迷っていた方はぜひ!